2008.1.21 松本誠
13回目の「1.17」が終わった。早くも震災から14年目に入る。あの大震災を体験した人々はあれ以来、正月よりも「1.17」の節目の方が大きな存在と意識している人が少なくない。災害の犠牲になった人たちの魂を数えるようなロウソクの灯を求めて、被災地のあちらこちらで開かれた追悼、慰霊の会場へ巡礼のように足を向ける。
次の大規模災害へのカウントダウン
「戦後63年」などのように、過去の重要な事件からの時間経過を示す「周年」を示すとともに、「1.17」はもう一つの意味を持つ。13年前のあの体験以降「21世紀は自然災害の世紀」ともいわれ、とくに次の巨大地震に襲われる時期が年を追うごとに近づいてくるからだ。いわば、阪神・淡路大震災からの経過年月は、次の巨大地震に見舞われる時期の「カウントダウン」の意味合いを持っている。年越しのカウントダウンと異なるのは、その時期が特定できないが年を追うごとに確実に切迫してくることである。
進まない「減災」対策
30年以内の発生確率50%の南海大地震、東南海大地震は60%の確率で発生するという。首都圏直下型大地震は70%の確率、東海地震に至っては「いつ起きてもおかしくない」という。
だが、13年前をはるかに上回る被害が予測されるというのに、政府も人々もいたって鷹揚だ。長周期の地震に対して対策の決め手がないという超高層マンションは、建てるだけ建てておいた挙句、行政も業界もこれから実験をして対策を考えるという。
心の痛手を継承していくことは周年行事でやれても、致命的な被害を避けるための「減災対策」は遅々として進んでいない。やはり、自分の身は自分で守るしか、災害の世紀から生き延びる方法はないのかもしれない。