ニュースレター(市民自治あかし)でたどる《ごみ減量の課題と新ごみ処理施設問題》
- 108号 2025.11.15 新ごみ処理施設計画の問題点続々判明、見直しが急務
- 107号 2025.9.23 新ごみ処理施設と廃棄物処理行政、9月議会で“炎上中”
- 104号 2025.7.3 明石市の指定ごみ袋導入は「収集有料化」の布石?
- 101号 2025.5.8 廃棄物を燃やしたらアカン!資源やで!
- 99号 2025.3.27 「指定ごみ袋」待った! ホンマのごみ減らしを!
- 97号 2024.12.16 巨額の新ごみ処理施設計画 予定費用不明のまま業者入札へ
- 89号 2024.2.25 「生ごみ減量」の課題と資源循環のまちづくり
- 88号 2024.1.28 飛躍的な「ごみ減量」を進めるための課題は何か?
- 29号 2018.5.19 清掃工場の建て替えとゴミ減量行政の課題
明石市長 丸谷聡子様
2025年9月22日
新ごみ処理施設を考える会
新ごみ処理施設整備計画の見直しを求める緊急要望
明石市が進めている新ごみ処理施設整備計画について、17日から3日間続いた9月議会本会議で連日のように計画に関する危惧や不明朗な点が幾つもにわたって取り上げられました。国の「第5次循環型社会形成推進基本計画」との整合性や、さらにごみ減量が社会の趨勢として進んだ際の施設規模の妥当性、明石市のごみ減量の更なる推進、ごみ収集有料化についての“二枚舌”的な対応、さらには810億円という巨額の事業費の将来財政への不安などが指摘されました。また、市が抜本的に手を付けようとしていない「生ごみ」の分別回収や資源化についても対応を求める質問が行われました。
短い質疑時間の中でこうした疑問点は解消できるに至りませんでしたが、私たちもかねてから国の廃棄物処理政策が「燃やす」から「資源化」して循環経済へ向けての歩みを強めていることに注目し「廃棄物は燃やしたらアカン!資源やで!」という学習会を重ねてきました。この結果、このまま明石市が新焼却施設を建設した場合には将来取り返しのつかない事態が生じて、そのツケは大きな“負の遺産”として市民にのしかかってくることを懸念し、危機感を抱いています。
市議会での市の答弁を聴いていても、こうした危機感が全く伺われず、市の廃棄物処理計画が様変わりしている現実にも極めて疎い、あるいは鈍感な姿勢を如実に感じました。
新ごみ処理施設整備計画は、昨年12月に事業者公募の公告が発表され、すでに9月末から10月初めにかけて業者からの提案書を受け付け、プレゼンやヒヤリングを経て優先交渉権者の決定へ選定作業が進んでいることは承知しています。
しかし、この計画は国が進めようとする政策に真っ向から逆行するだけでなく、「2050年脱炭素社会」をめざす明石市の方針を掲げながら、25年後も現在と変わらない焼却量を維持しようとする計画になっています。
こうした計画を改めずに強行すれば、ごみ処理施設に対する国の交付金も大幅減額あるいは取り消しになることも懸念され、140億円超の交付金を前提にしている新ごみ処理施設計画が財政面からも破綻しかねない懸念をはらんでいます。
私たちは市議会各会派にもこうした懸念を伝え、資料や情報を提供する中で9月議会での相次ぐ質問につながっています。
計画に根本的な疑問点が山積している現状では、業者選定作業を一時停止、先送りし、計画の疑問点を解消し後顧に憂いを残さない計画に改めるように要請します。17日の本会議でも議員の質問に対して、市長は「市民に対して丁寧に説明し理解してもらいたい」と答弁しています。
速やかに私たちと意見交換の場を持ち、山積する疑問に答えるよう要請します。
また、別紙に記載する通り、現時点で私たちが疑問を抱いている問題点について疑問を氷解できる説得力のある説明をお願いします。
以上
別紙 新ごみ処理施設整備計画についての疑問点
新ごみ処理施設計画について、現時点で私たちが抱いている主な疑問点は、以下の通りです。 明確な回答を求めるとともに、意見交換会の際の参考にしてください。
1. 新ごみ処理施設が稼働中の「計画処理量」について
明石市はこれまで、新ごみ処理施設稼働後の各年度の「計画処理量」は未定と、2036年までの分しか公表してきませんでした。しかし、20年間の稼働を前提に施設を建設し、この間の運転委託契約を締結する事業者選定にあたって、年次ごとの計画処理量が不明のままでは、事業者選定はできません。
市は昨年12月に事業者の公募を始める際の公告で、詳細な「要求水準書」を公表しています。この中では、事業者選定の前提になる「新施設の計画処理量」が年次ごとに記載され、施設稼働6年後の年間計画処理量7万2676トンに対して稼働20年後の2050年の計画処理量は7万2342トンとなっています。この計画では施設稼働時の2031年7万5583トンに対し20年後の2050年では7万2342トンになります。これは20年間で3241トン、4.3%しかごみを減らさない計画になっており、年率にすると0.2%の減量計画になります。明石市の人口推計では2030年30万8907 人に対して、2050年には30万246人(国の推計では26万9828人)と人口も相当数の減になっています。人口一人当たりのごみ排出量にすると、上記の計画では明石市は20年後も「ごみ減量」どころか一人当たりの排出量を増やす計画になっています。
明石市もSDGs推進計画では、2050年の「ゼロカーボン」(温暖化ガス排出量ゼロ)を目標に掲げていますが、行政活動で最大の焼却施設は現在と変わらない焼却量を維持する計画との整合性をどのように説明するのですか?
2.「循環経済への移行」を前面に打ち出した「第5次循環型社会形成基本計画」(2024/8)との整合性はあるのか?
政府は昨2024年8月、第5次循環型社会形成基本計画を策定し「循環経済への移行」を前面に打ち出し、環境省は今2025年3月「一般廃棄物処理システムの指針」を改訂しています。これらは2050年カーボンゼロを目標とした世界の潮流に合わせて、廃棄物の焼却処理から資源循環への転換を経済システム全体として「循環経済」に転換する方針を示したものです。
この計画のバージョンアップに対応した上記の「一般廃棄物処理システムの指針」は、市町村に対して一般廃棄物の適正な循環的利用に努めることを促し、これまでのような焼却処理は「最後の補足的な処分手段」としています。
具体的には、プラスティックはもちろん、バイオマス(生ごみ、剪定枝、廃食用油)、古紙・紙製容器包装、繊維製品、ガラス・金属・小型家電・リチウム電池等は分別回収して資源化することを提示しています。9月市議会でも質問があった「生ごみの分別回収と資源化」の実施を求める議員に対して、市はできない理由を並べるだけで「課題は認識しているが、検討対象ではない」と言い切り、まるで国の方針や指針は眼中にないかのような対応をしています。
新ごみ処理施設計画やその前提となる一般廃棄物処理基本計画でも、国の方針と世界の潮流に逆行するかのような対応をしています。こうした国の方針との整合性について、市はどのように考えているのか明確にしてください。
3.ごみ減量を飛躍的に高めるインセンティブとして、国もごみ収集の有料化を促している。市は指定ごみ袋導入に関連して「有料化は考えていない」と説明しているが、本当に有料化は考えていないのか?
今年3月末に環境省に提出した「第2次循環型社会形成地域計画」は、新ごみ処理施設に対する交付金受給の前提になるものですが、環境省から文言の修正を求められ、ごみの有料化に係る検討について「必要となる場合は検討する」となっていたのを、前提条件なしに「検討を行う」と修正したことが議会で明らかになっています。これについても9月議会で、市は「有料化は、更なる減量化が必要な際に取り組むことを明確にしただけで、現時点では優先度は低い」と答弁しています。
こうした対応と発言は、3月末のぎりぎりの時点で環境省から修正を求められ、その修正に応じたことを改めて否定することになり、今後の交付金受給についても支障が生じる要因になる懸念はありませんか。すでに環境省サイドは、明石市のごみ減量への消極的な姿勢、焼却処理から資源化への流れに逆行する新ごみ処理施設計画に疑念を抱いている様子が伝わってきていますが、そのポイントの一つになった「有料化」についての市の議会における対応姿勢は、将来に禍根を残すことにならないのか、重大な懸念を持っています。
4.「 循環経済」への急展開は明石市の意思にかかわらず、経済活動としても焼却ごみとして排出する量が加速度的に減少する可能性が強い。1で指摘した計画処理量を前提にした新ごみ処理施設は近い将来「燃やすごみがない遊休施設」となる一方、新たな資源循環施設の設置を求められて過剰投資の財政負担となって市民にツケが回ってくることはないか?
この懸念は9月議会でも質問され「長期にわたる事業なので、一度立ち止まって見直したらどうか」と提案されたが、市は具体的な答弁はないまま老朽化を理由に否定した。しかし、全国的に見れば「廃棄物は燃やさず、資源として循環させる方向へ舵を切り、当面は現行施設の補修を重ねながら延命化を図って、将来の二重投資や過剰施設を回避する自治体も少なくない。焼却施設のプラントメーカーも生き残りを賭けて、将来のごみ焼却の衰退と資源化へ向けての転換を図っています。業界は発注者側の認識や意向に合わせて提案してくる時代です。そうした方向に取り組む自治体には新しい「廃棄物循環システム」を積極的に提案し、国の方針や世界の流れにいち早く対応しようとしています。
明石市が旧態依然のごみ焼却処理から脱却できないのなら、業界もそれに対応した提案をして旧型施設の“在庫一掃”に役立てるのが、転換期にある業界の実態でもあります。810億円という明石市政始まって以来の巨額の公共投資をするにあたっては、世界と日本の潮流の最先端を直視し、将来に禍根を残さない廃棄物行政に転換する時ではありませんか?
現行計画による事業者選定が大詰めに来ている現在、これからの25年先の事態を直視し、計画を1年か2年先送りしても、将来に禍根を残さない市政に立ち戻るために、今が「ラストチャンス」です。
市民や議会も交えて、業界や学会の先進事例を吸収しながら、英断を下しませんか?
以上
参考:市民自治あかし・ニュースレター96号の第2面
建設費418億円、20年間の運営委託費256億円、総額674億円の巨額事業費
▼ 「市民自治あかし・総会」総括より 2024.9.8
「市民自治の市政 第2ステージ」が試される最大の課題は、新ごみ処理施設への対応だった。市民マニフェストに掲げた最大の懸案であるとともに、明石市始まって以来の巨額の公共事業である。しかも「ごみ減量」への大転換が求められている中での旧態依然のごみ処理施策に、環境派市長の真価が期待された分野でもあった。
現行のごみ処理焼却施設は当初の“20年サイクル”の更新時期が過ぎており、環境部の担当部署からは次期計画への取り組みを早くから挙げていた。だが、インフラ整備の抑制志向を強めていた泉前市政下では先送りを重ねて、現行施設の維持管理補修費用を毎年計上することでしのいでいた。SDGsの都市づくりを掲げるなら、大胆なごみ減量に取り組むことが求められていたが、そうした姿勢は全く見られないまま、事実上放置されていた。
にもかかわらず、12年の任期を終える土壇場で巨額の新処理施設の基本計画を決め、2023年度当初予算では基本設計の業務委託予算を“置き土産”として去っていった。新市長は、まずこの計画の見直しに着手しなければならなかったはずだが、就任直後の5月から6月にかけて基本設計業務委託の「入札」は予定通り行われ、6月12日には基本計画策定時のコンサルでもあったパシフィックコンサルタンツ神戸事務所に決定し、6月末には業務委託契約を自ら締結してしまった。
「ゼロ・ウェイストあかし」の合言葉は掲げたが、空疎な“言葉遊び”にとどまる
このことを問われた市長は「今後の基本設計過程で計画を圧縮、縮小させる」と主張していた。12月議会には事業者選定委員会の設置条例を提案可決し、学識者委員を選任した。この委員会はそもそも公募した事業者を選定する委員会であり、基本計画に基づいて応募した事業者の選考過程で計画の大幅圧縮をできるとすることに無理がある。今年(2024年)3月議会での説明では3炉体制から2炉体制への変更を検討していることが明らかにされた。これは災害時などの緊急事態に備えた緊急用を“自前主義”から、隣接自治体等に依存する“広域運用主義”に切り替えるだけで、現時点ではゴミ処理量を抜本的に減らすごみ減量政策に転換するものではなさそうだ。
それを裏付けるように、昨年9月23日のタウンミーティングのテーマに「ごみ減量」を取り上げたものの、抜本的なごみ減らしへの具体的な働きかけは見られず、市長自身の決意も示されなかった。他方、1月末に発表した新年度予算案の概要では「循環型社会の実現のためごみゼロ・ウェイストあかしを合言葉に、再生資源リサイクルなどごみ減量に取り組む」との目的とは裏腹に、新年度予算の施策で見たように「見せかけの施策」のオンパレードにとどまっている。
市民自治あかしは、市民マニフェストの最重要課題の一つとして「ごみ減量」施策を追求する方針から、10月1日の市民まちづくり講座で「新ごみ処理施設」を取り上げて環境部の出前講座で計画の中味に焦点を当て、今年の2月と3月にも連続して「ごみ減量」の推進を取り上げた。この中では、世界の趨勢はすでにゴミを廃棄物として「焼却」する時代から転換を始めており、日本の政策も脱炭素社会を照準においた「資源化サイクル」に動き出している中で、旧態依然の巨大焼却施設をこれから建設することの誤りを浮き彫りにした。とりわけ、家庭用燃やせるごみとして全量焼却している生ごみは、本格的な堆肥化など資源循環型のまちづくりに転換していく課題も学んだ。
市民の意識改革と協力を得ることなしに進まないことを考えると、市自らが腹を決めてその先頭に立つことが不可欠だが、指定袋の導入による減量化施策についても「市民の意向を聴く」アンケート調査にとどまっているのが現状だ。