論点整理:旧図書館跡地、利活用計画の問題点

旧図書館跡地利活用計画についての問題点(論点整理)

2026/1/6 松本 誠

1.旧市立図書館の現代的価値

  • 築半世紀を超える明石公園の記念碑的建築の保全と活用(県立と一体建築物を活かす)
  • 既存建築物の「解体、再建築」から「長寿命化による活用」時代への転換
  • 低コストで不足する文化的拠点に活かす課題へ対応(ぶんぱくあり方検討委報告との矛盾)

2.「解体ありき」は、どこで、どう道を誤ったか

2013年11月
 駅前再開発を図書館移転を前提に着工した時点で、移転後の建物をどう扱うかの検討を開始しておくべきだった(遅くとも 2017/1 の新図書館開館時点では検討開始すべきだった。泉市長は後のことを考えないまま、5年後に契約通り更地にして返還すると県に文書を提出した。この時点で松本は泉市長と井戸知事に「県立と同様に耐震補強工事を行い、県立図書館の書庫活用や生徒用の学習室、郷土資料館として活用するように私信で訴えていた)

2022年4月11日
 泉市長と斎藤知事の初会談で市と県の“手打ち”をした際に、知事が表明した「更地にして返せではなく、民間活力を導入して活用する素案を描いているので、また提示したい」を具体化するように働かかけるべきだった。(泉氏は 2023/9 の投稿のようにずっと頭に秘めていたが、23/4末の退任で失念し、後継市長に引き継ぎもしないままだった。後継市長は 4/11の会談について講演の樹木伐採のことしか関心がなく、知事のこの発言には無関心だったうえに、23/9の盗聴騒ぎでうろたえて、23/12末には解体前提の念書を知事に提出してしまった)

2023年12月27日付けの市長から知事への念書は、県立公園のあり方検討会明石公園部会の最終日、しかも御用納めの日に県の関係者に託して提出された。中身はそれまで議会にも説明することなく、市民参画手続きも一切ないままの「新たな公共施設」建設をタイムスケジュールまでつけて知事に約束したものだった。

2024年3月
 議会で「解体ありき」ではなく耐震補強して活用するように求めた意見に対して「初めて聴く話なので、検討したい」(市長答弁)としたにもかかわらず、全く検討した痕跡なく、質問提案した議員も「市長の強い意思のようだ」とあきらめてしまった。

2024年12月
 解体費8億円を新規施設への補助金に便乗して少なくとも半額を補助金によって賄う計画で補助金探しをしていた中で、都市再生整備計画の明石駅周辺地区の都市構造再編集中支援事業補助金の活用にたどりつき、駅前広場からアスピア明石方面につながるペデストリアンデッキを延伸する事業との“抱き合わせ”で旧図書館跡地利活用計画への補助金を導入しようと、2024/12月議会に報告した。ただし、旧図書館跡地計画との関連を議会に説明しないまま、歩行者デッキ延伸計画のみを説明していた。(説明できないことがあったのだろう)
 しかし、2025/12月議会では「旧図書館跡地利活用計画」の報告ではなく「明石駅周辺地区の取組」として、利活用計画の基本設計素案と歩行者デッキ計画が建築構造的に無理なことを並立して報告するという“分かりにくい説明”しかできなかった。

3.前途に立ちはだかるもう2つの壁

① 都市構造再編集中支援事業補助金の受給への関門
  • ペデストリアンデッキの延伸計画(事業費8.69億円)の断念により、地上の歩道整備事業で補助金要件をクリアできるかどうか? そもそも2つの事業をセットにして補助金を得ようとする魂胆に無理はないか?(だから、議会にも2つの事業の関連を説明していない?)
  • 補助金交付対象事業の説明についても、虚偽やごまかしが少なくない。
    一つは、「地域交流センター」は床面積が概ね1000㎡以上であるものに限るとされているのに、設計委託公募時の仕様書や基本設計素案は800㎡になっていた。上記の条件に気づいたのか、2025/12議会への報告資料では何の説明もないまま「施設概要 建築面積1092㎡、延べ床面積999㎡」と書き直されていた。
    二つ目は、8億円という解体費が市の目論見通り工事費の全額を補助金の対象にできるかどうかどうか?
② 都市公園法による新規施設の許可や、明石公園に関わる県文化財保護審議会による許可手続きがすんなり運ぶのかどうか?
  • 解体ありきの具体的な行動を丸谷市長が起こしたのは 2023/12/27の明石公園部会最終会議の終了時点での知事宛の“念書”提出だった。翌御用納めの日に知事が“受諾コメント”を発表し、2024/4/4には明石公園陸上競技場の改修工事竣工のセレモニーにかこつけて、県立公園あり方検討会の高田知紀明石公園部会長も交えて知事、市長のトリオで旧図書館を一緒に視察した。市長にとっては市議時代から取り組んできた明石公園樹木過剰伐採問題が落着した経緯を旧図書館問題にフルに活用できる機会であり、知事にとっても兵庫県庁の知事内部告発問題が3月に表面化して矢面に立ちだしたころで、県内市長らも厳しい目を向けていた中で新市長との蜜月関係をアピールできる機会でもあった。
  • 市長からすれば知事との太いパイプで賛同を得ているから、旧図書館跡地問題もスムーズに進むと思っているかもしれないが、明石公園内の新施設建設には都市公園法による「新規施設の建設」許可手続きに加えて、明石公園内への新規施設の建設には県の文化財保護審議会の承認手続きが必要。図書館建設時もそれ以前にも、明石市が目論んだ明石公園内への文化会館等の建設計画は市長と知事の合意があっても文化財保護審議会等の了承を得られず頓挫した事例が何回もある。当時と事情や状況の変化はあるとしても、知事の賛同あるからといってすんなり進むとは限らない。ましてや斎藤氏は内部告発問題の火種が続いており、その影響力がどこまで続くかは霧の中でもある。
  • もちろん、県立図書館のように耐震補強と全面改装で既存施設を活かすならこうした手続きはないが、いったん解体撤去した後に新しい目的の施設を建設するだけに、これらのハードルは決して低くはない。

以上

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