市に「再エネ活用庁舎」を提案 | 再エネあかし

明石市長 丸谷 聡子 様

2023年6月8日
NPO法人再生可能エネルギーあかし
代表理事 佐々木卓郎

〔前文:抄〕新庁舎建設計画が実施設計の段階に入ったとお聞きしております。「SDGs未来都市」を宣言した明石市の中枢となる公共施設事業であることから、最大限の再エネの活用、次世代に繋ぐクリーンエネルギーを導入すべきであると考えます。そこで、「脱炭素を目指す明石らしい庁舎」になるよう、以下の提案をさせていただきます。

  1. 新庁舎は次世代に繋ぐ、50年またはそれ以上の将来を見据えた事業として、積極的な省エネ・再エネの活用に特色を持たせた事業にすべきであると考えます。
  2. 明石市は瀬戸内の少雨温暖地域として、全国屈指の太陽光エネルギーの最適地域であり、SDGs推進都市としてその「モデル事業」となるべき「最大限の太陽光発電」を装備した庁舎を建設することが、本計画の最大の特色となること目指していただきたい。
  3. 2020年10月、我が国は地球温暖化対策のため「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを宣言し、2021年10月には「エネルギー起源CO2排出量を2013年度比51%削減する」といった目標が設定されており、自治体としても「ZEB」仕様の率先的な取り組みを図っていただきたい。
  4. 兵庫県はPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)を活用した自治体の公共施設等における太陽光発電の普及(いわゆるゼロ円ソーラー)をめざしており、第一段階として2022~2023年で県と市町の公共施設等にパネル容量で約10MW(1万kW)のPPA導入をめざし、市町等への再エネ普及支援を挙げています。建設初期費用の抑制のためPPAを利用した太陽光発電の採用を検討願いたい。
  5. 「明石市役所新庁舎建設 基本設計(2023年3月)」によると、太陽光発電の計画は本庁舎屋上に50kW、1階南玄関前の来庁者駐車場の屋根に50kWで合計100kWを設置するとなっています。
     屋上への設置機器の詳細は不明ですが、建築面積が3875㎡となっていることから、屋上の太陽光パネルの設置可能面積は 3000㎡以上あると考えられます。ただ、屋上には庁舎内の空調機器の室外機などの設置が必要と考えますが、これらの機器類の上部に架台を設け太陽光パネルを設置すれば、空調機器などの保護にもなる効果も期待できます。
     一般的な太陽光発電設備の実績から推定すると3000㎡の屋上には300~400kW程度のソーラーパネルを設置できると推測します。
     さらに、東西と南面の外壁4層に及ぶ広大なバルコニーの腰壁面や、日当たりの良い1、2階のガラス貼りの外壁面は、最近すでに普及が始まっている「発電ガラス」を採用すれば、広大な壁面が再エネ発電に利用することが可能で、その総量は1000kWにも相当する可能性があります。
     屋上をフルに活用し、壁面発電や発電ガラスも導入してゼロエネルギー庁舎の実現はもちろん、場合によっては同じ敷地内にある市民会館等への電力供給の可能性もあります。
     イニシャルコストについても、国のゼロエネルギー庁舎に対する補助金の導入や、PPAの仕組みを利用して初期投資の負担を抑えることも可能です。
     併せて、現庁舎における電力利用量や電気代(年間総計ではなく、一日当たりの最大・最少の電力量や電気料金を考慮したシミュレーションを行い、新庁舎で予測している電力利用量や支払い電気料金の見通しと、ゼロエネルギー庁舎(あるいはそれに近い庁舎にした場合)の20年以上にわたるトータルコストと節減効果等の試算していただきたい。
  6. 【まとめ】本庁舎についてのこうした検討と実施設計での取り込みは、これから検討する本庁舎以外の市役所敷地全体、および隣接する県有地(港湾地区等)や庁舎東側の市有地の将来計画を含めた市役所ゾーン全体の中心市街地における位置づけにも大きな影響と「夢」をもたらせることになります。
     何よりも、市役所南に隣接したベランダ護岸をはじめとした中崎海岸ゾーンと市役所ゾーンを全国有数の立地環境として庁舎建設に活かしていくことができます。その中心になる新しい本庁舎が、時代の最先端を行く「ゼロエネルギー庁舎」として脚光を浴びることになります。
     「SDGs未来都市」を宣言した明石市が、その象徴としての新庁舎を建設する意味がますます大きくなるのは明らかです。

以上


参考資料

【現基本設計における発電量】

・屋上面50kW+来庁者駐車場50kW=100kW
1kWパネルで発電できる量の目安:1日で約2.7kWh(JPEA:太陽光発電協会による参考値)
100kW×2.7=270kWh/日
270kWh×365日(1年)=98550kWh=99MWh/年

【計画見直しによる発電量の試算】

前提:
・太陽光パネル 250W/枚(縦1.65m×幅0.9m→架台など含めて設置に必要な面積1.7㎡/枚)
・新庁舎屋上面積3000㎡(屋上面積≒建築面積:3875㎡のうち、パネル設置に利用可能面積)

Ⅰ案 太陽光パネル屋上設置及び来庁者駐車場

① 屋上面3000㎡/1.7㎡=1764枚設置可能 したがって 250W×1764=441000W=441kW
② 来庁者駐車場:50kW(基本設計より引用)
①と②の合計:441+50=491kW
1日あたり、491kW×2.7=1325.7kWh/日
年間:1325.7×365=483880kWh=484MWh/年

Ⅱ案 Ⅰ案+ 建物側面(ベランダ)への太陽光パネル設置(東・西・南)

南面 (21×2)枚 設置可能見込み 250×42=10500W
西面 (12×2)枚 設置可能見込み 250×24=6000W
東面 (12×2)枚 設置可能見込み 250×24=6000W
→合計設置見込み:22500W/1階当たり
4階分として:22500×4=90000W=90kW
Ⅱ案の合計 491kW90kW=581kW
581kW×2.7=1568.7kWh/日
1568.7×365日=572575kWh=57MWh/年 →Ⅰ案+Ⅱ案=541MWh/年

Ⅲ案 Ⅰ案とⅡ案に加え、1及び2階に発電ガラスを設置

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