自治基本条例の策定と市民の対応

2008.2.11 松本誠

 明石市が昨年から「自治基本条例」の策定作業を始めた。約1年間の職員によるプロジェクトチームの検討を経て、7月から自治基本条例検討委員会を発足させた。学識経験者2名と各種団体代表、2名の公募委員計14名による委員会で、2月初めまでに11回の委員会を開催した。

住民自治研究会つくり提言活動

 自治基本条例は地方分権改革が進むにつれて、自治体の住民自治の仕組みづくりが重要な課題になり、全国で策定が進んでいる。
 すでに約100件程度の先行事例があるが、“自治体の憲法”とはいわれているものの、地方政府の最高法規としての内容を兼ね備えているところも、形ばかりの条例づくりに終わっているところもあり、その質は千差万別である。

 明石では住民自治に関わる議論がこれまで乏しく、市政もあまりそうした志向をしていなかったことから、意図とめざす中身を図りかねていた。しかし、市民活動の仲間らと何回か委員会を傍聴するうちに、「これは放置できない」と9月初めに10名ほどで「住民自治研究会あかし」を発足させて、委員会と並行するかのように毎月2回のペースで研究会を続けている。

 10月半ばには、検討の進め方についての7項目の提言書を検討委員会と市長宛に出し、その後も市が開催した13の地域ごとの意見交換会を傍聴し、市の事務局スタッフや検討委員会の委員との意見交換会を開き、市民サイドからの問題提起を続けている。

議論のすそ野広げる市民の連携

 自治基本条例のカギは、市民の参画や協働をどのように保障していくかであり、そのための仕組みづくりと“草の根の自治”を担う地域住民組織をどのようにつくっていくかにある。その条例の策定プロセスに、多様な市民がどう関わるかも条例づくりの大きな成否がかかっている。

 時間に追われず、議論のすそ野を広げ、条例づくりのプロセスで住民自治についてどれだけの市民が一緒に考え、議論を深めていくかが、重要だろう。そのための、市民側の連携が求められる。

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